篠原かをりさんは、作家・文化昆虫学者として生き物と人間の関係を研究し、テレビでは動物調査員として伝える人です。日本テレビ『嗚呼!!みんなの動物園』への出演で知られ、慶應義塾大学SFC研究所の上席所員。2026年8月には初の本格児童書『コボックとふしぎな虫の樹』を刊行しました。
肩書だけを見ると、昆虫を分類する研究者を想像するかもしれません。篠原さんの面白さは、虫そのものに加え、人が虫をどう怖がり、愛し、物語にしてきたかを見ることです。『みんなの動物園』での役割、文化昆虫学、新刊、著書、数多くの生き物を飼育してきた経験を、別々の疑問として追います。
篠原かをりは何者?作家・文化昆虫学者
篠原かをりさんは、作家であり文化昆虫学者です。所属事務所の現行プロフィールでは慶應義塾大学SFC研究所上席所員と紹介されています。作家としての刊行物に加え、番組出演や講演の履歴も公開されています。
「昆虫学者」と聞くと、野外で新種を探す姿だけを思い浮かべがちです。文化昆虫学は、人間が虫へ与えてきた意味、物語、嫌悪、憧れを文化の側から見る領域です。同じゴキブリでも、研究対象、害虫、ペット、物語の象徴では扱われ方が変わります。その差を言葉にするのが篠原さんの仕事です。
科学的な事実と、人が抱く感情を混ぜないことも大切です。「気持ち悪い」と感じる人を知識不足として責めず、なぜそう感じる文化ができたのかを考える。虫を好きにさせるより、嫌いなままでも少し観察できる距離をつくるところに、テレビや本で伝える意味があります。
篠原かをりは『みんなの動物園』で何をしている?
日本テレビ『嗚呼!!みんなの動物園』では、動物調査員として出演してきました。スタジオで感想を言うだけでなく、生き物の習性や現場で起きていることを観察し、視聴者が「かわいい」の次へ進むための言葉を渡します。
動物番組は映像の力が強く、表情を人間の気持ちへ置き換えたくなります。しかし、口角が上がって見えるから笑っている、近づいてきたから好かれたとは限りません。篠原さんの立場は、面白さを壊さずに、人間側の思い込みを少しずらすことです。
2026年9月5日の番組にも出演情報があり、継続してテレビで名前を見かける入口があります。放送内容や出演は変更される場合があるため、当日の番組表を確認してください。所属事務所は同番組へのレギュラー出演を案内しています。気になった生き物がいた回から、紹介された本や研究へ読み進められるのも、この活動を追う楽しみです。
篠原かをりの文化昆虫学とは?虫と人間を一緒に見る
文化昆虫学は、昆虫の身体や生態だけでなく、文学、芸術、信仰、食、言葉など、人間文化の中で虫がどう扱われてきたかを考える分野です。篠原さんは作家として、その境目を一般向けの文章や講演へ翻訳します。
たとえば、同じ鳴き声でも「秋の風情」と聞く文化と、騒音と感じる環境があります。虫の側は人間の季節感のために鳴いているわけではありません。けれど、人がそこへ意味を重ねた歴史も無視できません。生物学の答えと文化の答えを二者択一にせず、両方置くと世界が立体的になります。
「役に立つ虫だけ残せばよい」という考えも、文化昆虫学から見ると問い直せます。人間がいま価値を測れない生き物にも、生態系の関係があり、物語や記憶の中の位置があります。篠原さんの話が興味深いのは、正解を暗記させるより、自分の物差しがどこから来たかを見せるからです。
新刊『コボックとふしぎな虫の樹』はどんな本?
『コボックとふしぎな虫の樹』は、2026年8月19日に双葉社から発売された、篠原かをりさん初の本格児童書です。虫への知識をクイズのように並べるだけでなく、物語を通して生き物の世界へ入る本として案内されています。
出版社が明かしている舞台は、小学校にある願いを叶えるという桑の木です。守り人のコボックが願いに合う虫を送り出しますが、ルールを破ると虫は害虫へ変わってしまう。幼なじみ三人の「むし部」が事件に向き合う連作短編集として紹介されています。これは公表あらすじの範囲で、結末はここでは扱いません。
面白い設定だと感じるのは、登場する虫が実在種で、その生態と人間の願いが結び付いていることです。たとえば「誰にも見られたくない」という願いにナナフシが登場します。擬態を単なる用語として覚えるのとは違い、人間の欲望を通して虫の特徴に出会う。未読の段階でも、文化昆虫学と物語がつながる入口は、この紹介から読み取れます。
大人が読む場合も、子どもへ教えるためだけに急いで要点を探さなくてよいでしょう。自分がいつ虫を嫌いになったのか、名前を知らないまま避けてきたものは何か。子どもの視点を借りると、すでに決めた好悪を一度ほどくことができます。
篠原かをりの本はどれから読む?
物語から入りたいなら『コボックとふしぎな虫の樹』、人と虫の意外な共通点を楽しみたいなら『恋する昆虫図鑑』、身近な哺乳類から人間社会を考えたいなら『ネズミのおしえ』が入口になります。著書ごとに対象と語り口が違います。
本を選ぶとき、表紙にいる生き物が好きか嫌いかだけで決めると、篠原さんの一番面白い寄り道を逃します。苦手なネズミや虫について、なぜ苦手なのかを安全な距離で読めることも本の利点です。実物を飼ったり触ったりしなくても、観察の仕方は学べます。
ゴキブリ400匹を飼育したのは本当?
所属事務所の公式プロフィールには、ゴキブリを合計400匹飼育した経験が記載されています。ほかにもドブネズミ、タランチュラ、サソリ、ウーパールーパー、さまざまなクワガタなど、多数の生き物を飼ってきました。
この数字は驚きを呼びますが、家庭で同じ飼育を勧める情報ではありません。生き物には逃走防止、温湿度、餌、繁殖、外来種や法令の確認が必要です。珍しさだけで迎えると、人にも生き物にも負担になります。
400匹という数より重要なのは、種類をひとまとめにしない視点です。人が「ゴキブリ」と聞いて想像する一種と、世界にいる多様な種の形や暮らしは同じではありません。嫌われた名前の内側にも差があると知ることが、研究と伝達の出発点になります。
篠原かをりと慶應SFCの研究は?
篠原かをりさんは、慶應義塾大学SFC研究所の上席所員として活動しています。現在の所属や研究テーマの詳細は、大学・本人の公式ページに掲載された最新情報を確認してください。
SFCという所属名を、テレビ出演の権威付けとしてだけ使うと研究の中身が消えます。篠原さんの特徴は、大学の中で考えた問いを、番組の数分、本の一章、講演の一例へ形を変えて届けられることです。専門語を消すのではなく、日常の驚きへ置き換える翻訳力があります。
生き物の解説を見るときに気をつけたいこと
テレビでは限られた時間で特徴を紹介するため、例外や地域差まで全部は入りません。興味を持ったら、番組の一文を最終回答にせず、図鑑、研究機関、自治体など複数の情報へ進むと理解が深まります。
野生動物へ餌を与える、巣や幼体を持ち帰る、珍しい生き物を通販で衝動買いすることは、番組を楽しむこととは別です。観察は近づくほど正しいわけではありません。距離を保ち、生息場所を変えず、写真だけ持ち帰るほうがよい場面が多くあります。
番組で知った生き物を、本のページへ連れていく
新刊には、各話の最後に登場した昆虫を紹介する「むし部調査ファイル」があり、本編の漢字にはふりがなが付いています。出版社が想定する小学校中学年だけでなく、親子で同じ虫の名前を確かめながら読む入口にもなりそうです。物語の中では不思議な力だったものが、調査ファイルでは実際の生態になる。その行き来に、作家と文化昆虫学者という二つの肩書が表れています。
虫が好きな人の代弁者だけではありません。嫌いな人の足元にも、なぜ嫌いなのかという文化の物語があると示す人です。次に番組で不思議な動物を追う姿を見たら、答えを言う瞬間より、最初に何を観察したかへ注目してみてください。知識の量より先に、世界の見方が少し増えるはずです。
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